終演時刻が遅い『小堺クンのおすましでSHOW』を観たあとは、新宿・京王プラザホテルに泊まりました。翌朝、せっかく早い時間に都心に居るのだから、午前中のすいている早い時間帯に鑑賞できるだろうと、『フェルメール展』を観に行きました。
新宿の京王プラザホテルを9時過ぎにチェックアウトし、新宿駅9時半ごろに山手線に乗りました。
10時頃に上野駅に着きました。上野駅から会場の東京都美術館に行くまでの上野公園の中には、美術館や博物館の現在催されている大きな展示会、美術展の看板が並べられています。フェルメール展の看板には、「現在の待ち時間」が貼り付けられていましたが、「待ち時間0分」の表示。午前中の早い時間ならすいているだろうという目論見は、見事大当たりです。
今回の展覧会の一番の楽しみにしている絵は『小路』です。アムステルダムの国立美術館(Rijksmuseum)の所蔵品です。このアムステルダム国立美術館には、去年のオランダ・ベルギー旅行で訪れました。その時に見た『小路』と今日、再会を果たしたわけです。
先日、NHKの美術を扱ったバラエティ番組『迷宮美術館』で、フェルメールの『デルフト眺望』では、絵の具に砂を混ぜて壁などの質感を出す工夫をしたことを解説していました。そんな事を思い出して、『小路』に描かれている建物の壁などを詳しく見てみました。絵の表面は絵の具ののり具合が不均一で凹凸を作っているのでしょう、会場の照明を反射して、見る角度によって違う点がキラキラと光ります。絵の前で、右に左に体を動かして、反射の光点が変わるのを楽しみました。建物の前でうずくまっている子供の衣装が、薄汚れています。こんな汚れた洋服で遊びまわっている子供たちも当時は珍しくなかったのでしょうか。
左の絵は『マルタとマリアの家のキリスト』。フェルメールの若い頃の作品だそうです。マルタはマリアの姉だそうです。マリアは聖母マリアともマグダラのマリアとも別人のようです。このあたり、キリスト教の知識がないのでよくわかりません。
テレビ番組で聞いた知識ですが、宗教画では、赤や青の衣装を着ている人は重要な人物であることが多いそうです。この絵でいえば、キリストの足元に座ってキリストの話を聞いているマリアの衣装です。
同様の衣装を着た人物は、左下の絵『ディアナとニンフたち』の絵のディアナの隣りにもいます。神話を題材にした絵ですが、この『ディアナとニンフたち』の絵の中にも宗教的モチーフが隠されているようです。ならば、ニンフの赤と青の衣装にも何らかの意味が隠されているのかもしれません。
『ディアナとニンフたち』は、有名な『真珠の耳飾りの少女』の飾られているオランダ・ハーグの
マウリッツハイス美術館の所蔵です。マウリッツハイス美術館も去年の
オランダ・ベルギー旅行で立ち寄っているので、この絵も見たはずなのですが、『真珠の耳飾りの少女』や『デルフト眺望』の印象ばかりが強くて、この絵の記憶があまり残っていません。
今月号の芸術新潮はフェルメールの特集で、フェルメール作品がどの美術館のどの展示室に飾られているかが紹介されていますが、マウリッツハイス美術館の3点は、同じ展示室に展示されているようです。
右の絵の一番上は『ワイングラスを持つ娘』。この絵の名前は他にも『二人の紳士と女』という題名で紹介している書籍もあります。オランダ風俗画には、人生教訓を絵に語らせているものが多いようです。この絵に描かれている酒をたしなむ男女というテーマはオランダ風俗画によく取り上げられたテーマのようです。この絵に込められた人生訓を知るためには、展覧会会場で貸し出されている音声ガイドが便利です。料金500円ですが、BGMや、絵からイメージされるイメージ音楽なども録音されていて、展覧会の鑑賞をより質の高いものにしてくれます。実は、私も、先に見に行った知人に勧められて音声ガイドを借りることにしました。借りてよかったと思います。これからフェルメール展を見に行かれる方には、ぜひともお勧めします。
せっかく実物を見に展覧会の会場へ足を運んだのだから、写真では再現できない実物でしか味わえない美しさを味わいたいものです。この『ワイングラスを持つ娘』では、白い磁器の酒壺の光沢を見てきてください。実にリアルで、ひんやりと冷たそうな質感が伝わってきます。磁器の表面に写った窓の光の反射が、素晴らしいです。
フェルメールが好きで、フェルメールの全作品を画集などで眺めたことのある人なら、すぐに気づくかと思いますが、この絵の窓ガラスのステンドグラスの模様は、同時期に描かれたとされる『紳士とワインを飲む女』に描かれている窓のステンドグラスと同じです。おそらくは、同じ場所なのでしょう。2枚の絵は、床のタイルの模様も全く同じです。
右の真ん中の絵、『リュートを調弦する女』は、女性の真珠のネックレスと大きな玉のイヤリングの光の反射に注目です。これもまた、写真ではコントラストが平板になってしまい、実物の迫力が伝わりません。特に、イヤリングの玉の光の反射は、精巧で興味深いです。
右下の絵は、フェルメール作品の中で一番新しく認定されたという作品。そんなに大きくない小さな絵でした。個人蔵の絵ですから、所蔵する美術館に行けば見られる絵とは違って、この機会を逃すと次はいつ見ることができるか分からないと思うと、貴重な出会いのように感じます。
会場では、もう一枚、フェルメールの絵が展示されています。『手紙を書く女と召使』です。これは、ドタキャンされてしまい来日しなかった『絵画芸術』(ウィーン美術史美術館蔵)の代わりに出展されたような絵です。『手紙を書く女と召使』では、音声ガイドの受け売りですが、画面下のほうにある、封蝋に注目してみてください。溶けた封蝋の赤い蝋と、溶かす前の棒状の封蝋が、書き損じたのかくしゃくしゃにされた便箋とともに床に落ちています。
最近のコメント