『星の大地に降る涙』 地球ゴージャスプロデュース公演Vol.10
地球ゴージャスの公演『星の大地に降る涙』を観てきました。
なかなか、面白かったです。カーテンコールで、三浦春馬が喋っていましたが、『クラウディア』に続く、「反戦2部作」になるのだそうです。『クラウディア』は再演でしか見ていませんが、『クラウディア』と較べると、『クラウディア』のメッセージ性が薄まって、今回の『星の大地に降る涙』は、より娯楽志向になっていて、エンタテイメントとしての完成度が高くなっているように感じます。『クラウディア』は敵味方の両面から描かれていたものが、『星の大地に降る涙』は、侵略される側、略奪される側からの視点で通されていて、その分整理が付いているように思いました。
1幕冒頭、仮面をつけた十数人の「兵士」たちが、銀色の盾を持ち、杖のようなものを床に打ちつけてリズムを取りながら息の合った動きを見せます。その兵士たちの持つ銀色の盾は、往年の機動隊の持っていたジュラルミンの盾をほうふつとさせました。かつての1960年代の学生運動の「敵」を連想させました。
寺脇康文は1962年2月生まれということで学年でいえば私と同じ学年、岸谷五朗は1964年生まれですので、学生運動については私と同様、自分より上の年代の起こした運動で、子供の視線からの体験しかないと思うのですが、あの機動隊のジュラルミン盾のような盾は誰のアイディアによるものなのか興味深いです。
戦争で幼い子供たちも年老いた老人たちもいなくなった共同体。映画『タイムマシン』の未来社会を思い出しました。映画『タイムマシン』の未来社会では、怪物の種族が、人間を襲い連れ去ってしまうため、若い人間しか共同体には残っていないという社会を描いていました。そのような方向へ話が進むのかな、と一時、構えて観ていましたが、予想とは違った方向へとストーリーは進みました。
文化の違いにより、人間の行為も意味が変わってくる、そのことが異民族の理解を妨げるということを言いたかったのでしょうか。次のようなエピソードが出てきます。舞台となる共同体「タバラ」という民族では、キスが恋愛とか性愛の意味を持たず、同性に対しても異性にたいしても相手の傷をいやす行為としておこなわれます。海から漂着した二人の「倭人」、「シャチ」と岸谷五郎演じる「トド」は、そのキスを観て戸惑います。
これで思い出したのが昔読んだ星新一のショートショートです。地球外の星にたどり着いた宇宙飛行士が、異星人に友好の情を示すためにキスの挨拶をします。すると、その星では新しい文化としてキスの挨拶が流行します。しばらくして、食事会に招かれた地球からの宇宙飛行士は、食事開始とともに異星人が尻をめくり上げて食べ物を尻に運ぶのを見て驚きます。それでは、口だと思って重ねていた唇はいったい……? というところで、そのショートショートは終わるのですが。そんな物語を舞台を観ながら思い出していました。
性愛の作法は、文化により異なり、その「コード」を知っている者のみが、「性愛の情」を読み取ることが出来て、「コード」を知らないものにはわけがわからない、ということもあるのかもしれません。
いつの時代のどの場所の出来事か特定されないで進んできた物語が、終盤になって、明治維新前の官軍と幕府軍の戦いであることがわかります。そして、それまで記憶を失っていた「シャチ」と「トド」は、敵味方であったことも、2人は思い出してしまいます。
大団円では、皆がそれぞれの属する集団のために殺し合うことになり、「トド」岸谷五郎も「ザージャ」寺脇康文も殺され死んでゆきます。涙を誘う場面でした。
三浦春馬は初舞台だったようですが、堂々としていて、存在感もあり好演していました。木村佳乃は、出産のシーンの熱演が印象に残りました。歌も決してひどくは無く、これからさらにまた別のミュージカルに出演されることを期待します。2007年から「小堺クンのおすましでSHOW」に出ている伊藤有希が出ていました。芝居の間は気が付かなかったのですが、最後のカーテンコールで伊藤有希を見つけました。
上演時間は1幕85分、休憩25分、2幕65分で全部で170分(=2時間50分)でした。
| 出演 | |||||
| 木村佳乃 | 三浦春馬 | 音尾琢真 | 岸谷五郎 | 寺脇康文 | |
| 長谷部優 | 岡千絵 | 原田薫 | 藤林美沙 | 小野真一 | SHUN |
| 佐藤浩之 | 熱海将人 | 那須幸蔵 | 杉本崇 | 長内正樹 | 伊藤俊彦 |
| 向野章太郎 | 松永一哉 | 平間壮一 | 今野直美 | 伊藤有希 | 柳橋さやか |
| 半澤友美 | 香月あや | 折井理子 | 小林由佳 | 藤井聖子 | 筑紫寿楽 |
| 石橋拓道 | |||||
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